・・・と,いうらしい.
四月の終わりから五月のはじめにかけての,日本民族大移動.この時期におでかけするには,かなりの準備と根性が必要.のハズなのだが.
旅行には最悪のこの時期,なんでわたしは「あさま」自由席に座って,だんだんと暗くなってゆく景色をほけーっと眺めているのでありましょお???
ま,いっか.乗っちゃったもんはしかたないよね.(だんだんアバウトになってくるなあ・・・)
長野新幹線「あさま」はなかなかハンサムで,きりっとシャープなお顔立ちである.途中までは上越新幹線と同じルートだが,前に新潟に行ったときほどは,混んでいなかった.東京−長野は意外に近く,二時間もかからない.
でも長野県って,正直言って,りんごのイメージしかないんだよね.高校の修学旅行で,「シガコーゲン」とやらいうところに一度だけ行ったことがあるだけだし.あのときは振り子電車とやらいう,やたらと揺れまくるのに乗って行ったんだっけ・・・.雪はめちゃくちゃ降って寒いし.まあスキー研修なんだから,雪降らないと困るんだけどさ.
長野駅の周りは,一見したところ,ごくふつうの地方都市って感じ(ってどんな感じだ?).とりあえず宿を取って,晩ごはん食べよっと.
「くるみそば」.くるみの削ったのがついたざる蕎麦である.この蕎麦,コシがあって,つるつるして,おいしー!やっぱ本場ね!・・・でも,くるみはべつになくてもいいかも・・・
天気予報では,夕方頃雨らしいけど,今はよく晴れてる.とゆーか,暑い.誰だ長野は涼しいって言ったの!
・・・? なんとなく既視感・・・前にもこんなことがあったよーな・・・でおんなじよーに文句つけたよーな気がする・・・.
さーてどこにいこうかなーっ!
ん? 戸隠? って,どっかで見たことが・・・
あ,そっか.新潟に行ったときに,食べたお蕎麦が戸隠だったんだっけ.あの蕎麦も美味しかった・・・.あの時はどこにあるかも知らなかったけど.そーか,長野県だったのか.新潟は,おとなりさんだもんなー.
その戸隠で手打ちそばを打とう!という定期観光バスツアーがあるみたい.よしっ,たまにはツアーにまざってみるのもいいかも.
バスの出発時刻まで,その辺をぶらぶらする.りんごのアイス最中とか,ピリ辛野沢菜のおやきとか,朝からまーひたすら食べまくるわたし・・・
へー,おやきって皮が結構薄いんだ.具がすごくいっぱい入っている.野沢菜以外にも,かぼちゃとかなすとかきんぴらとか,いろんな具があるみたい.
しかしどこに行ってもあるなー.
りんごの巨大ポッキーだの,そばのベビースターだの・・・ご当地限定販売の巨大スナック菓子.博多には明太子プリッツがあったし,静岡はお茶のアポロ,名古屋は確かナゴヤコーチンだか八丁味噌だかのカールがあったよなあ・・・
重体・・・いや渋滞で,遅れているようです.
ずいぶん遅れてやっとバスが来たので乗り込むわけですが.
ガラガラ.
バスの外は混んでいても,中はすいているらしい・・・
全部で十人くらいしかいないのである.家族連れ・若いカップル・夫婦が一組ずつ,のこりは個人参加.こーゆーもんなのかな?
バスは一気に戸隠に向かうわけじゃなく,最初に善光寺に行くようだ.あの,「牛にひかれて善光寺」の善光寺である.
途中,あの長野オリンピックの表彰をやった,「セントラル・スクエア」前を通ったが.
・・・単なる駐車場じゃん.
バスの到着が遅れたため,当初一時間程度の予定だった善光寺見学が三十分にカットされてしまった.こんな広いところ,三十分ばかりじゃ,ぜんぜん時間が足りない.駅も近いことだし,また明日あらためて来ることにしよう.
これもオリンピックのときに整備されたという,ループ橋を経由して一路戸隠へ.この辺はオリンピックのいろんな競技が行われたところだって,ガイドのおばちゃんがしゃべりまくっている.モーグルだのフリースタイルだのよくわかんないから耳からシャットアウト.
バスで山をどんどんのぼっていくと,下のほうでは散りかけていた桜がだんだん満開になり,つぼみになり・・・時間をまき戻しているみたいだった.上のほうになるとつぼみすらない.冬山の趣だ.
だんだんと空気が澄んで,冷たくなってくる・・・
って,ガイドさん.
そーゆー人はそもそも,そば打ちツアーになんか参加しないって.
ここで,最大目的であるそばを打つわけでアリマス.
広島から来られたというご夫婦と,個人参加の殿方と,四人で組になる.
ここで打つのは,そばが七,つなぎの小麦粉が三の割合のやつ.よく聞く二八そばっていうのは小麦粉:そば=2:8のコトなんだって.わたしはずーっと,二×八=十六文って意味かと思ってた.
思ってたより,かなり白っぽい.小麦粉の割合が多いせいかとも思ったんだけど,そば粉自体も,すごく白い.それでもやっぱりそばらしく,粘り気があんまりなくてすぐに破れる.
切り方が不ぞろいだったから,あちこちかたすぎたりやわらかすぎたりしたけど,それなりにおいしかった.自分で打ったから,なおさらそう感じたのだと思う.ただ,やっぱり意外に色が薄くて香りも少なくて,あんまり,そば!!!って感じじゃなかったなあ.
建物の外では,水車ががたがた回っている.実際にそばを打ってるわけじゃなさそうだけど.あんなちょろちょろした水であんなでっかい水車が回るなんで,なんか信じがたい.
近くに,なぜかアイスクリーム屋さんがあって,そこの割引券をくれたので(とゆーか,これも代金のうちなんだろーな),行ってみた.
うーん,「そばアイス」は,まあ予想してたけど.「熊笹アイス」って,何コレ?
悩んだ挙句,そばと熊笹のダブルを注文してみた.
「そば」は本当に,そばの実が入っている.けっこう食感が楽しいかも.「熊笹」のほうは,粉末が入っているみたい.色・味は抹茶アイスっぽいけど,ほのかに笹の香りがした.
三人・・・いや神様だから,三柱いらっしゃる.
天照大神が天岩戸にこもったとき,近くで宴会やって踊って騒ぎまくってひっぱり出したっていう神話がある.あのなかで,宴会をしようと提案した神さま,天照大神を引っぱりだすべく宴会で踊った女神さま,扉をこじ開けて放り投げ,戸隠山を作った神さま,の三柱の神さまがまつられている.しかしどーして神様のお名前ってあんなに長ったらしいんだろう.とても覚えられない.
ともかく,日本人の宴会好きは,神さまの時代からそうだったわけで,なかなか筋金入りですな.
でも天照大神も女神さまなのに,おんなじ女神さまの踊りにつられて外に出てきたりするもんなのかな? やっぱりここはかっこいい男神さま・・・むにゃむにゃ.
今回,実際に行ったのは,宴会を提案した知恵の神さまのところだけ.ここには三本杉っていう大木がある.もちろん縄文杉ほど古くはないけど,900歳くらい.ここには杉の大木が三本あって,そのうちの真ん中の杉がさらに三本にわかれているように見えるから,二重の三本杉になっている.階段は,雪解け水がちょろちょろと流れ落ちている.まあ雪がけっこう残っているといっても,黒くて汚くて,あんまり触りたくないかも.
おつぎのコースは森林植物園だったのだけれど・・・
ざんね〜〜〜ん!
雪は山ほど残ってるわ,花はちーとも咲いてないわ,道は雪解けの水でぐちゃぐちゃだわで,あんまり見て回れなかった.(だって仕事帰りにそのまま出てきたからー,通勤スタイルだもん・・・あんまり服汚したくないし〜〜〜〜)
「こんなに雪が残っているなんて」
と,運転手さんが言ってるくらいだから,戸隠でもコレは結構珍しいんだろう.とゆーことは,珍しいものが見られたってコトね!・・・でもあんまりうれしくないのはナゼだろう・・・?
ふ・・・不覚!
戸隠から市内に戻るバスの中で眠ってしまった! あーん,昇りとは逆に冬〜春に移り変わっていく山々の姿を見ようと思っていたのに・・・.
私たちが山を下りるのを待ってくれていたかのように急速に天気も悪くなってきたので,ちょっと早めにホテルに向かう.
げ.雷まで鳴りはじめちゃったよー.今夜は,おでかけは無理だなあ.・・・というわけで,その日の夜は,「たけしの万物創世記」の近視のなおし方をみながら更けていった・・・って長野まで来て何やってんだろわたし.
ちょっと雲は残ってるけど,じゅうぶん許容範囲内.
今日は,昨日素通りした善光寺の参道まわりの,おいしそーな店をたべあるくのだっ!!
おやきからはじまって,そばクリームあんみつとか,味噌ソフトとか,そばだんごとか・・・.うう,いくらそばが消化にいいって言っても,さすがにこれだけ立て続けに食べるときつい・・・
しかし,びっくりしたのは味噌ソフト.ほんとに味噌+ソフトって感じで,かなり濃い.
参道近くの店は,ごくふつうの文房具屋さんとか本屋さんとかメガネ屋さんとかでも,店構えが重厚〜〜〜でおもしろい.まあこういうのは,鎌倉とか,京都奈良とかでも同じかな.
とりあえず,行ってきました,戒壇めぐり.(ちょっと五七五っぽく)
善光寺のご本尊は本堂の下に鍵をかけて大事にしまいこまれ,外には絶対出さない.信者は,本堂の下の真っ暗な通路を通って,ご本尊のところに行くのだが,そこでもご本尊を見ることはできない.ただ,ご本尊が安置されているお堂(?)の鍵に手探りで触れるだけである.
真っ暗.自分が目をつぶっているのかあけているのかもわからないくらい.前の人の姿も見えないから,何回もぶつかってしまった.
すぐ後ろに,おじいさんとお孫さんの連れがいて,
「じーちゃんの姿がうっすらと見えるー」
なんて言ってる. ナニ,この暗さで見える?
子供ってすごい・・・・
善光寺は,宗派がなくて,天台宗と浄土宗のお寺が周りを守ってるって・・・どーゆー意味なのか,よくわからない.
わかるのは,建物はどっしりと大きくて,いかにも歴史がありそうなこと.庭は,木と燈篭でいっぱいだ.さくらはもう終わりかけてたけど,色とりどりの花が咲き始めていた.
おおお!!算額がある!話には聞いていたけど,ナマで見るのははじめてだ.そーか,日本の幾何って,こーゆーふうに始まって,発展を遂げていったんだなあ・・・
善光寺の近くには,東山魁夷の美術館がある.美術館が二つ,並んで立っていて,一方が東山魁夷,もう一方が一般的な美術館だ.しかし,ちょうど,普通の美術館のほうでも東山魁夷展をやっていて,ダブルで見ることができた.
ぢつわ,東山魁夷,という名前を最初に知ったのは「開運!なんでも鑑定団」だったりするのだが・・・.しかもなぜか,私は「ひがしやま」を「とうやま」と覚えてしまっていて,いつも間違えてしまう.
最初に見たときは,なーんだごくふつーの風景画じゃん,としか思わなかったけど,見ていくうちになんか引き込まれてしまった.わたし,こういうかんじの山とか水とかの絵って,結構好きかも.
でも,特に黒っぽい絵や青っぽい絵で,額縁のガラスに周りの人たちや部屋の調度品とかがくっきりうつりこむのが妙に気になった.あれって邪魔.照明とか角度でどうにかできないものなのかな.
そんなこんなで,善光寺付近で半日つぶしてしまった.今からよそに遊びに行くのも中途半端な時間だなあ・・・とは思ったのだけれど.
終点の小諸が近づいてくると,車窓から,「懐古園」の文字が.よしあそこだっ!
例によってとっても行き当たりばったりに決まった目的地に向かうわけです.
ここは昔,お城があったみたいなんだけど,お城の上物は何にも残っていない.今は神社みたい.木がいっぱいで,花が色とりどりで綺麗だ.桜はもう散り始めていたけど,舞い落ちるはなびらの下で花見をしている人たちも結構いた.これはこれで風情があるよね.
眺めは抜群だし,動物園や遊園地まであって,かなり広い.
入場券が,島崎藤村の記念館(「藤村」を「ふじむら」と読み間違えたことがあるのはワタシだけではあるまい)やら郷土資料館やら小山敬三の美術館やらがみーんなワンセット,というのはちょっといただけないが・・・これって抱き合わせ商法???
へーえ.寅さんの記念館まで・・・.
郷土資料館には,火山岩の石園があって,火山岩で作った燈篭なんかが置いてある.屋上は展望場になっているが,壁に直接手描きの絵を書いて,回りの景色の説明をしているのがおもしろかった.あじがあるねえ.
懐古園では,「くるみおはぎ」なるものを食すことにしたのだけれど・・・これは失敗だった.
ごはんのかたまりに,くだいたくるみと砂糖を混ぜたものをまぶしたというシロモノが三個.どーもあんまり好きになれない味だわ.付け合せの漬物は,おいしかったけど.
・・・と思ったら,電車がいったばかりであと一時間近く来ない.うーんこういうダイヤも久しぶりだ.
一時間ばかり,土産物屋をうろうろした後軽井沢へ移動.この軽井沢,わたしには高級避暑地ってイメージしかない.
とゆーか,軽井沢って長野県だったのね・・・.とまたガクのないことを・・・
駅を出てすぐ,不動産屋さんのでかでかとした看板が目につくのは,いかにも軽井沢なのかも.(偏見)
この辺は,ちょろっと観光するような場所ではなさそうなので,次に向かうとしよう・・・
おや〜〜? 軽井沢の先は,横川駅までは普通電車がないみたい.新幹線とバスの,二者択一.バスで横川駅まで行くと,そこからまた電車が出ている.
今日は,普段通っている道の渋滞がひどいということで,バスは旧道を経由.運転手さんによると,カーブと坂が半端じゃないらしい.ひゃ〜〜〜.
うわーほんとにカーブ多いなこりゃ.碓氷峠,カーブは184個・・・だってさ.
でも景色はいーですねえ.廃線になった線路跡らしいものもちらちら見えている.背の高いメガネ橋もあって・・・あれって今でもわたれるんだろーか?
道路ぎわには,名前はしらないけど背の高い木が真っ白な花をつけている.
しかし・・・ふつうの路線バスじゃないんだよ.観光バスサイズなんだよ.このデカさでまがりくねったせまーい道をつっぱしるのは運転手さんも大変だろうけど,すれ違うほうもコワイだろうな.で,すれ違うほうも観光バス,ときた日にゃあ・・・
退屈するひまもなく,横川駅到着.
ここって,あの「峠の釜飯」のところらしい.
とーぜん,もうとっくのむかしに売り切れてたけど・・・