札幌旅行記(1999.8)


あつい・・・

長い梅雨がやっと終わったと思ったら,猛暑が始まった.連日,30度を超す暑さである.
暑いというより,熱い.夜もろくに寝られないではないの.(わが家には,クーラーなんてべんりなものはないのである)

夏が来るたびに,「夏は暑いものなんだ!」とか,「クーラーなんかつかわないほうが体にも環境にもいいんだ!」などと自分に言い聞かせてきた言葉も虚しく感じられる.

嗚呼もっとすずしいところにいきたい・・・

涼しいといえば,北.(南半球なら南だけど)

北海道.名前からしてすずしそうではないか!

おりよく,きょうは金曜日.土日は北海道で涼んでくるのだ!

飛行機,まだ空席あるかなー.

・・・・・・

(職場から羽田空港ビッグバードのホームページにこっそりアクセス中)

どーでもいいことなんだけどやっぱりビッグバードっていうとセ○ミストリートだよなあ.

・・・・・・

おおっ!あるではないか!J○LさんもA○Aさんもばっちり!

そーゆーわけで,仕事が終わるのも待ちきれず,京浜急行に飛び乗ったのであった.

いまは,羽田空港のなかにまで京急が入っているから,べんりでよろしい.改札口から,ちょっと遠いのがタマにキズだが・・・

いざ北海道へ!

さて,羽田空港である.

無事チケットを購入し,腰を落ち着けてあたりを見まわすと,ゆかた姿のお相撲さんの姿がいやに目につく.後で知ったんだけど,札幌で土俵入りかなんかがあったらしい.ちゃっかりサインもらっているひともいた.

ベーコン入りのクリームスパゲティを大きな手で食べているお相撲さんがいて,なんだかちょっとおかしかった.そりゃお相撲さんだって,ちゃんこ鍋ばっかり食べてるわけじゃないよねえ.・・・つーか,空港でどーやってちゃんこ鍋食うんだ,っていう根本的な問題が・・・

はて.なんか警備がみょーにものものしくないかい?国内線なのに・・・荷物のチェックもなんか厳重.預ける荷物もいちいち開いて中をチェックしてるし・・・

こーゆーもんなのかしら?飛行機なんかろくに乗ったことないからよくわからん.

・・・あ,なんか貼ってある.

張り紙を読んで納得.例のハイジャック事件だ.
フライトシミュレータをやりたくてハイジャックをおこしたどっかの馬鹿のせいである(1999・夏).

千歳ゆきの飛行機は大きくてなかなか快適.席も窓際でよかった.羽田はちょっとくもっていたけれど,すぐに晴れてきて,眼下に海とか山とかちっちゃな家や道なんかが楽しめた.

あれ?

東京湾のど真ん中に,なんかまるいドームみたいなのがぽかっと浮かんでいる.なんだろうあれ?

謎の浮遊物はそれだけではない.

橋みたいなものまで浮かんでいるのだが,橋でないことはすぐにわかる.両端が,どこにもつながっていないのである.ぷっつり切れて,あとは海・・・

なのにその上を何か小さいものが走りまわっているし・・・

どーやらこれは海ほたるとか,東京湾アクアラインとかゆーものらしい,ということは,ずっとあとで判明した.

視線を横に向けると,だんだん高度を増していく飛行機のまわりを,いろんな種類の雲がとりかこんでいる,竜の巣(by天空の城ラピュタ)みたいにもこもこ盛り上がっていたり,うすい層をなしていたり.

まぶしいのもかまわず,ほけーっと眺めていた.

札幌は・・・?

さて,千歳空港到着後,まずJRで札幌へ出て・・・

札幌駅におりたった途端,唖然とする.

このおしよせる熱気はなに!?

なんでこんなに暑いの??

もしかしたら,関東地方より,暑いんじゃない?

期待を完っ璧に裏切られたわけだが,札幌にしてみれば,観光客の勝手な期待に応えるような義理はないわけで・・・

とにかく気を取りなおして,本日の宿探しにとりかかる.ともかく風呂に入りたい.

「もうしわけありませんが,本日は全館満室でございます」

へー.まあそうかも.なんかヒト多いしなー.

「まことにもうしわけありませんが・・・」

「ざんねんですが満室となっておりまして・・・」

「予約でいっぱいで・・・」

・・・・・・

なんか,のきなみ,たてつづけに,断られてしまったぞ.

ひょっとしたらきょうは大通り公園で野宿か?

やっぱり駅の近くとか大通り公園とかすすき野とかで探したのが間違いだったのか? <−アタリマエダロ!

こころをいれかえて,今度は札幌駅からだいぶ北のほうをあたる.

「はい,ご用意いたします」

ホテルのおにーさんの声がとってもかっこよく聞こえた一瞬.

やっぱり・・・

そう,つぎの日も,やっぱりあつかった.

天気予報は,くもりのちあめ.でもしっかり日は出ている.雨のまえだから湿度がたかくて,むしあついこと,このうえない

避暑という当初の目的が見事に崩れてくれたいま,あとは観光地としての札幌をめいっぱい楽しむしか道は残されていない.

まず,ホテルからいちばん近い観光地(?),北海道大学に向かう.歩いているヒトは,たぶん半分以上観光客なんだろーな.今日は休日だし.あ,クラーク先生の像のところで写真とってる.

なんか大学というより公園というかんじだ.緑は多いし池はあるし.建物はれんがづくりで,いかにも格調たかそう.

木にかこまれた芝生のうえで,6〜7人のおにいさんたちが踊りをおどっていた.耳をすますと・・・

「ヤーレンソーランソーラン・・・」

「ハイ!ハイ!」

そそそ,ソーラン節!?

・・・なかなかキレのある踊りである・・・

・・・・・・

もう少し行くと,外国のおにーさんがたがふたりで,クリケットをやっておいででのところに出くわした.う〜〜ん,はじめて見た.

池のそばでは,鴨が6羽,地面の上でべたーっと平たくなっていた.ひとが近づいても逃げるどころか,動きもしない.そりゃ鴨も暑かろー・・・って,ならなんで水に入らない?

有名なポプラ並木は,倒木のおそれがあるということで,もうずいぶんまえからたちいり禁止になっているそうだ.

こんなキャンパスっていいなあ,と思いながらも,門から遠いから通学が大変だと余計なお世話をしたりして.

外国の大学ってこんなかんじなのかもしれないなあ.(外国ってひとくくりにはできないけどさ)

そう,北海道大学は,本当に広かった.よもや大学のなかで迷子になろうとわっ

北海道大学で2時間ばかり迷子になったのち,駅近くの喫茶店でひとやすみ.やっぱりクーラーはあんまりきいていないようだ.

暑いのに.

暑い暑いと散々文句をつけているくせに,昼食にはしっかりラーメン(だって札幌なんだモン)を食べ,つぎは植物園にむかう.

しかしその途中,赤いれんがづくりの美しいたてものが目についてふらふらと引き寄せられてしまった.

北海道の旧道庁だった.とてもおもおもしいかんじで,荘厳な雰囲気すら,ただよっている.ような気がする.明治の建築物で,そのあと焼けたり建てなおしたりもしているらしい.

中には,当時の絵が飾ってあったリ,短い説明文がついていたりしている.いいなあ,こういう建物.

旧道庁のすぐ近くに,植物園はある.ここも北海道大学の施設である.おそるべし北海道大学!

中には温室とか博物館とか民族資料館なんかがあったリしてかなり広い.

研究用のいろんな植物が植生ごとにわけられて植えられている.ところによっては,民俗学的に使用用途ごとに分類しているのもあった.

植物園にいるあいだに,雨が少しぱらついて,ありがたいことにちょっとだけ涼しくはなった.

しかし,雨はすぐにやみ,そのあと植物園にいるあいだ,芝生のうえに寝転がりたい誘惑と,服がどろどろのぐちゃぐちゃになるというおそれとが頭のなかでずーっと戦うはめになってしまった.

晴れて涼しければ,芝生のうえで一日中でもぼーっとしていたいようなところだ.

夏祭り?

どんどん南におりていって,大通り公園につきあたる.ここではじめて,「夏祭り」の文字をみつけたわけである.

なるほど・・・ひとが多いわけだわ.

大通り公園は,南北をひろい通りに挟まれて東西に細長く伸びるというちょっと変わった形をしている.
この大通り公園に,サッポロ,キリン,アサヒ,サントリーそれぞれのビールメーカーがそれぞれ1コずつビアガーデンを設けている.さすが札幌.

ここでふたたび,ひとやすみ.とはいえ,ワタクシはアルコール類がぜんぜんダメなので(シャンパンで酔っぱらうという安上がりな体質なのだ),アイスクリーム片手にぼーっとする.
雨はとっくにやみ,陽射しはしっかりてりつけていて,雨が降るまえより暑いような状態だ.

さて,大通り公園から南にしばらくは,歩行者天国になっていた.で,チームがいくつも集まって,和太鼓を叩きまくっていた.

うーんこりゃーかなりの迫力だわ.

日本の夏,である.

ふつうにどんどこ叩いているチームがほとんどだったが,なかには,大中小と3つの太鼓をならべて,まるでドラムのようにあっちの太鼓こっちの太鼓と叩きまくっているひともいたし,中国の銅鑼を叩いているひともいた.

太鼓は,ほんとに叩きながら踊るというかんじで,音だけじゃなく,目で見て楽しむものだなあと改めて思う.

盆踊り大会もあったみたいだけど,それは見られなかった.

えーと,それから・・・

もうすこし南へいくと,狸小路という商店街がある.ここは,すすき野がほんとうにすすきの野っ原だったころ,狸に化かされて云々・・・という話があるらしい.なんとなく,北海道は狸というより狐のイメージが強いんだけど.
ここには狸のおじぞうさんなんかもあった.

サッポロビールファクトリーというものがあることを知り,行くことにする.いや確かにアルコール類はぜんぜんだめなんだけどさ,なんか面白そうじゃないの.

・・・失敗したなあ.

もうちょっと早くくるんだった!

ミニチュアワールドミュージアムや,マイセンの博物館なんかもあって,けっこう広い.一日中でも,あそべそうなところだ.あーしまった.

楽器の演奏をしているひともいて,とても楽しそうだ.

・・・・・・

夜は,もいわ山へ行って札幌の夜景をみおろしてきた.上に行くロープウェイの最終が9時なのだが,もいわ山に着いたのが9時5分前というきわどい時間だった.

大急ぎで最終のロープウェイに乗り込むと,中はひとでいっぱいである.中腹あたりでいったん降りて,リフトに乗り換えると,山頂はもうすぐだ.

山頂には,土産物屋があり,その上が展望台だった.

話には聞いていたけれど,ほんとうにきれいだった.どう言えばいいんだろう.なんかきらきら光るものをぱーっとばらまいたみたいな感じ.

帰りのロープウェイは行きにもまして混んでいたけど,見てよかった.

・・・・・・

今日は結構あちこち回ったなあ,とホテルのベッドにごろん.

あ,しまった!

羊ケ丘にいってクラーク先生におあいするのを忘れてた・・・

千歳では.

日曜日は,快晴.
ほんとに,雲ひとつない,って言っていいんじゃないかな.

当然気温はおそろしいまでにぐんぐんとあがってゆくのである・・・

今日は,千歳の航空自衛隊の基地に,航空ショーを見に来た.雲ひとつないってのは,少なくとも,航空ショー日和ではあるわな.
しかし考えてみれば,アスファルトのじりじりとした照り返しの中ひたすら上を見上げて飛行機を待つわけである・・・

札幌から千歳に向かうJRの中で,千歳駅から基地へのシャトルバスの案内があったりして,かなり大きなイベントであることがうかがえる.

千歳駅からはシャトルバスにつめこまれて基地に向かうのだが,渋滞がすごい.まさかこの車の列のひとたちみんな航空ショーを見にいくのか?

バスのなかから,F−15が何機も何機もかっ飛んでいくのが見えた.そのたびにバスの窓に顔をくっつける乗客たち(とーぜんこのワタクシめも).

目玉は,ロック岩崎である.ブルーインパルスもある.

ロック岩崎というのは,もと航空自衛隊のひとだそうだ.飛行機が好きで好きで,自衛隊をやめたあとも飛行機に乗りたくて,アメリカにわたって,アメリカで曲乗り飛行(?)の認定を受けるまでのテクニックの持ち主らしい.

乗っている飛行機がなんだかクラシックなかんじで,ちょっと「紅の豚」というアニメを思い出してしまった.

煙をはきながら急上昇したり急降下したりひっくりかえったり.なんであの姿勢でちゃんと飛べるのだろう・・・?

テンションの高い女の子が日本語と英語でアナウンスをしていた.娘さんだということだ.

さて,炎天下のなか,ぽかーんと口をあけて飛行機を見上げていたわけであり,当然ながら,当然の結果になってしまった.鼻や腕がまっかっか.じりじり照りつける太陽と,アスファルトの照り返しと,上と下の両方から攻められて,まだちょっとお肌がひりひりする.

涼を求めて・・・ムナシイ期待

航空ショーを見終わると,いったん千歳駅に戻ってきて,支笏湖に行くことにした.・・・湖のそばなら少しは涼しいんじゃないかなと淡い期待を込めて.

支笏湖ターミナルゆきというバスが2時間に1本くらいでているので,これに乗る.木に囲まれた道をつっぱしって,大きな湖へ到着.

・・・そして淡い期待は淡いまま,はかなく消えてしまった.ぜんっぜん涼しくない!

支笏湖では,遊覧船に乗って,湖のうえから観光した.水はとても澄んでいてきれいだ.遊覧船以外にも貸しボートとかあって,小人数で湖のうえに繰り出している.

おかしかったのが,白鳥のかたちをした,自転車こぎで進むタイプのボート.
電波少年というテレビ番組でやってた「スワンの旅」そのものなのだ.あれが岸ちかくを20艘ちかくひしめきあっているのである.遊覧船の船長さんもみちをふさがれてちょっと操縦しにくそうだった.

支笏湖は,ひろい.ひろい,なんてことばで片付けられないほどひろい.

ここはカルデラだが,かつていったいどれだけの溶岩がふきだしたんだろう.

支笏湖の名物は姫鱒料理だそうで,食べてはみたのだが,わたしの舌はおそまつなので,ただの白身の魚とどう違うのか正直よくわからなかった.

しかし,支笏湖には「シコッシー」とゆー きょーりゅーさんがいるというウワサを聞いていたのに・・・

ほんとはもうすこしいたかったのだが,天気予報で明日もはれ,と言っているのを聞いて断念した.

J○Sに電話すると,空席があるということなので,これに乗って羽田に帰ることにする.

そして,羽田に帰ってみるとこっちのほうがよっぽど涼しかったのである.えーん.

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