京都御所(2002.11)

一般公開?

言わずもがなのことではあるが,京都御所は京都御苑の中にある.普段は閉鎖されており,宮内庁に申請しないと見ることができない.それが,一年に一度(?)だけ,気前よく一般開放されるのだという.

こういうプレミアに,わたしは弱いのだ.マクドナルドやロッテリアの「期間限定」には必ず手を出すし,ラーメン屋の「一日何食限定」だって,必ず注文してしまう.え? 次元が違うって?

まあともかく,最近京都にも行ってないし.こういう高尚な,日本古来の文化に触れるってのもたまにはいいんではないでしょうか.

というわけで,前に大阪に行ったとき同様,香川県から京都駅までの高速バスのチケットを取る.片道約三時間,日帰り圏内だ.

意外にも,バスはけっこう混んでいた.みんな京都御所に行くのかな,と思いつつシートに腰を落ち着ける・・・

その直後から,記憶がない.

爆睡である.気がついたら京都駅にいた.変な姿勢で寝ていたので,首が痛い・・・

首を曲げつつ,京都駅を見上げる.

大きくて立派なんだけれど,前衛的というか,バブリーというか・・・なんかまったく京都にふさわしくないんですけれど・・・.

どうせなら,総木造建築で,ぶっとい梁が見えるような,どっしりしたやつ.もちろん伊勢丹も全階木造,お寺みたいな門も建ててみたり,とかやってほしいなあ.

地下鉄に乗って

さてここから京都御所にはどう行ったらいいんだろう.確か御苑に行くのは地下鉄だったような気がする.

駅に行ってみると,ちゃんと切符の自動販売機の脇に,「京都御所拝観は今出川駅」,って貼ってあった.やっぱり行く人多いんだな.

そういえば,京都市内って,昔は市電が走っていたんだよね.今は全部地下に潜っているけれど.市電が走る光景ってのも,見てみたかったような気がする.

地下鉄って,景色が全然見られないから,ちょっとつまらない.けっこう混んでいるのだが,車内の吊り広告に目をやるしかない・・・.

以前,地下鉄の吊り広告は普通の電車より料金が高いと聞いたことがある.確かにそうかもしれない.ほかに見るものがないのだから,見られる確率は高いだろう.

といっても今出川駅は近く,あまり広告を見るひまもなかった.

地上に出て,どっちに行けばいいのだろう,なんてことは全く考えず,人の流れになんとなくついていく.車通りの多い道を,神戸市内でも見たようなアンティークなデザインのバスが通っていく.何となく乗ってみたいような気もするが,神戸同様,満員だ.

人の流れに乗るという作戦(というほどのものではないが)は当たり,すぐに御苑に到着した.

御所はめったに公開されないが,京都御苑はいつでも入れる.普通の公園のようなものらしい.かなりデカいが.

入口のところでは,警備の制服を着た人が観客の荷物をチェックしていた.中を見られるのかな? やだな〜〜.

警備の人は,わたしの荷物を外からちょっと触っただけで,すぐに返してくれた.

こんなチェックで,いったい何がわかるのだろう? この人は超能力者なのだろうか・・・

御所の中

めったに公開されないとあって,さすがに人が多い.ぞろぞろと人の流れについて歩き,ず〜〜っと昔に政治が実際に行われた場所を神妙に見学する.

警備の人たちがあちらこちらでピシッと立ち,観光客に目を光らせている.この人たちみんな,宮内庁の公務員なのだろうか.いずれにせよ,寒い中ご苦労様なことである.

おりよく紅葉の季節で,あざやかな紅葉の色が目を楽しませてくれる.実際,紅葉って,こんなすごい赤だったんだな,と驚くほどだった.写真では表現しきれない.

そして,さすがは京都.紅葉に合わせたような着物を着ている女性たちがいた.京都には確か「着物パスポート」というものがあって,着物を着ているといろんな特典が受けられるのだ.

頭でっかちな門 紅葉と着物

下の写真は,政治の中心,紫宸殿.重要な建物の横には,警備の人が目を光らせてがんばっている.

紫宸殿にてがんばっている人 紫宸殿横から

紅葉をめでつつ歌を詠む人たちの人形.この人形も,その道で有名な人が作ったものらしい.やっぱりそばには,がんばっている人が立っている.

人形たち1 人形のそばでがんばっている人 老朽化した屋根

むかし,菊に綿を被せ,綿についた露で身体をぬぐうと病気にならないという行事があった.今もあるのかもしれないが.

菊と人形

太鼓橋 池と紅葉

御所を出て.

そんなこんなで,御所の中を散々うろつきまわってから,今度は御所を出て,御苑の中をうろついてみた.

御所の観光客を見込んで,さまざまな出店が出ている.宮中関連のものから,京都のお菓子,さらには全く関係のなさそうなうどん屋などまで.ひやかしつつ歩く.

案内板によると,「大宮御所」というものもあるらしいが,ここは一般公開していないのだろうか.

御苑は実にだだっ広く,歩きでがある.昔は,この中に公家屋敷がかたまっていたらしいが,今ではその名残はほとんどない.

数少ない今に残る建物として,「拾翠亭」がある.今から二百年位前に立てられたものなので,まだ新しい(と思ってしまうのが,京都という街のすごさだが・・・).

建物の中から見える庭の風景が,池に映って見事な上下対称を見せている.

上下対称

ところで,京都の町は,わりとわかりやすい構成になっている.道がおおむね東西と南北の碁盤の目のようになっていて,東西に伸びる道が,一条,二条,・・・,南北に伸びる道が,烏丸とか堀川とかいった名前がついている.御所付近が烏丸一条あたりだ.

ちなみにJR京都駅付近は烏丸八条になる.御所から京都駅までは,烏丸通りを一条から八条までひたすら南にまっすぐ歩いていけば到着するのである.京都駅から御所までの交通手段に使った地下鉄烏丸線もこの烏丸通りの真下を通っている.

今は背の高いビルやお店が建ち並ぶ広い道だが,昔は,堀川通りやら大宮通りやらをのんびりと牛車が通っていたのだと思うとなんだかとても不思議な気がしてくる.

さて,前衛的な京都駅のそばには京都タワーがある.そしてそのそばには東本願寺がある.なんというか,本当に,新と旧の入りまじった極端な街だ.金沢に行ったときも同じような印象を受けたが,京都はその入り混じりかたがさらに顕著であるように思う.

東本願寺

京都駅にて

京都駅に戻ってくると,駅前の広場から,なんだか非常に騒がしい音楽が聞こえてきた.ストリートパフォーマンスでもしているのかと,人だかりにもぐりこむ.体格が小さいと,こんなとき便利だ.

ストリートパフォーマンスには違いないようだった.どこかの自治体が,国体だか博覧会だかのためのイベントを行っていたのだ.いろんな年齢の女の子や女の人がそろいのはっぴを着て,両手に鳴子を持って踊っている.

鳴子を持っていることや,踊り方から,何だか高知のよさこい祭りを思い出してしまった.楽しそうなので,ついつい最後まで見てしまう.

イベントは,京都駅の中でもやっていた.えらくポップ調な沖縄の三味線(?)の演奏である.最近,古来の楽器を現代風にアレンジして演奏したり,洋楽器と組み合わせてみたりというのが流行っているが,その一端だろう.

イベントステージを囲む椅子のようになっている階段に,若い子達が腰掛けて演奏に聞き入っている.演奏を聞きつつも,わたしは階段脇のエスカレーターに乗った.

京都駅には伊勢丹が入っているのだが,このエスカレーターと階段で,伊勢丹の最上階まで,外から上がれるようになっている.いったい,誰が考えたんだか,変わったデザインだ.

伊勢丹の上階には,空中回廊という通路もあり,遊び感覚あふれる楽しい駅だとは思うのだが・・・やっぱりバブリー.と文句をいいつつも,空中のおさんぽを楽しみ,手塚治虫ワールドを見学する.

四国には伊勢丹がないので(多分),買い物を楽しんでいるうちに帰りのバスの時刻がきた.

よし! 帰りのバスから明石海峡大橋の夜のライトアップを見るのだ! と心に決めつつも,当然ながら爆睡してしまうワタクシなのでした・・・

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